1982年創刊のカタログ誌「通販生活」で知られる株式会社カタログハウスは、公式オンラインショップに「クラウドフレア」を導入した結果、表示スピードの高速化とセキュリティ強化に成功しました。

従来から高速化対策に取り組んでいたこともあり、導入前から相当な表示スピードが出ていたにもかかわらず、導入後はページ描写開始までの時間が約38%短縮されるなど大きな成果を上げています。

また、不正アクセスの早期検知や迅速なIPブロックなど、ECサイトのセキュリティ水準も一層向上しました。

カタログハウス様がEC事業を強化するために「クラウドフレア」を選んだ理由とは?導入までの経緯や導入後の成果について、情報システム部 執行役員の上條篤様にお話をうかがいました。

株式会社カタログハウス 情報システム部 執行役員 上條 篤 様(写真左)と株式会社ドーモ 取締役 康 泰景(写真右)

「通販生活」のEC化率が約30%に拡大

株式会社ドーモ 康 泰景(以下、康):はじめに、カタログハウス様の事業概要や、ECサイトの取り組みについてお聞かせください。

株式会社カタログハウス 上條 篤 様(以下、上條様):弊社は1976年から通信販売を手がけています。1982年にカタログ誌「通販生活」を創刊し、通販カタログを有料で定期購読していただくという世界的にも珍しいビジネスモデルで、お客様との接点を築いてきました。

取扱商品は日用品や衣類、家具、家電、食品、化粧品、健康器具など多岐にわたります。通信販売の主な集客チャネルは新聞広告とテレビCMです。

康:「通販生活」は読み物も充実しているのが特徴的ですね。

上條様:カタログの約半分は商品の紹介ですが、残りの半分は読み物で構成されています。生活に役立つ情報やライフスタイルの特集、著名人へのインタビュー、社会情勢にまつわるコラムまで、読者の皆様に楽しんでいただける読み物を作り続けてきました。今では一般的になったコンテンツマーケティングを、紙媒体のカタログで行ってきたと言えばイメージしやすいでしょうか。

「通販生活」2025年5・6月号の表紙(画像左)。通販カタログでありながら有料の定期購読というユニークなビジネスモデル。さまざまな読み物を掲載しており、コンテンツは公式オンラインショップ(画像右)でも読むことができる 。

康:ECにも力を入れているとうかがいました。

上條様:EC事業を本格化したのは2010年です。消費者の購買行動が変化するなか、オンラインで買い物をするお客様が増えていることに対応するため、公式オンラインショップを現在のかたちにリニューアルしました。公式オンラインショップではカタログ誌「通販生活」と同じ商品を販売しています。

近年はデジタルマーケティングやオンライン広告を強化するなど、EC事業の拡大に取り組んできました。現在のEC化率は約30%です。

公式オンラインショップ「通販生活」ではカタログ誌と同じ商品を販売している。2025年4月に「クラウドフレア」を導入した。

セキュリティ強化と表示高速化を図るため「クラウドフレア」導入

康:2025年4月に、公式オンラインショップに「クラウドフレア」を導入していただきました。導入した理由を、あらためてお聞かせいただけますか?

上條様:EC事業を伸ばしていく上で欠かせない要素である“セキュリティ強化”と“表示スピード高速化”を図るために、そのどちらも高い効果が期待できる「クラウドフレア」を導入しました。

特に優先度が高かったのはセキュリティ対策です。昨今、サイバー攻撃や“なりすまし”による不正購入などがEC業界全体で問題となっています。弊社のみならず、すべての事業者にとってセキュリティ対策の強化は喫緊の課題でしょう。

弊社は従来からWAF(Web Application Firewall)や不正検知ツールなどを導入し、セキュリティ対策に力を入れてきました。しかし、サイバー攻撃の手法が年々進化するなかで、従来のセキュリティ対策ツールでは限界も感じていました。

2024年秋から約半年かけて、ECサイトのセキュリティ体制を抜本的に見直すなかで、WAF、DDoS対策、ボット対策などの機能を備えた「クラウドフレア」を導入したというのが経緯です。

なお、「クラウドフレア」のほかにも不正ログイン対策やセキュリティチェックのツールを並行して導入しています。

康:「クラウドフレア」のCDN(Content Delivery Network)はページの表示スピードを高速化できることも特長です。その点は採用の判断基準になりましたか?

上條様:もちろん、表示スピードを高速化できることも判断基準の1つでした。

ただ、弊社は以前から表示スピードの高速化に取り組んでいたこともあり、十分に対策を行えているという自負があったことから、優先度としてはそれほど高くはなかったというのが正直なところです。

しかし、この後詳しくご説明しますが、「クラウドフレア」を導入したことでページの表示速度が劇的に改善しましたので、表示スピード高速化という点でも「クラウドフレア」を導入して正解でした。

「クラウドフレア」を導入した経緯を説明する上條様

クラウドフレアの「実績」や信頼できる知人の「口コミ」が決め手に

康:セキュリティ対策や表示スピード高速化をうりにしたプロダクトが数多くある中で、「クラウドフレア」を選んでくださった決め手は何でしたか?

上條様:決め手は大きく3つあります。製品や会社の信頼性、知人の口コミ、そして康さんたち営業担当者の人柄という3つです。

1つ目は、「クラウドフレア」そのものの導入実績や、クラウドフレア社の信頼性です。クラウドフレア社は世界最大級のCDNプロバイダであり、フォーチュン1,000に選出された企業の29%が導入しているなど、世界的な大企業に採用されていることを評価しました。また、ISO27001といった各種セキュリティ認証を取得していることや、SEOに好影響があるといった点も魅力でした。

2つ目は、私が信頼している知人3人に「クラウドフレア」の評判を聞いたところ、全員が口を揃えて「クラウドフレア」を推薦してくれたことです。EC事業者や大手システムベンダーなど、業界でもキャリアのある人たちに、弊社が以前導入していたツールと「クラウドフレア」のどちらが良いか聞いたところ、全員から「クラウドフレアの方が優れていると思う」といった答えが返ってきました。

そして3つ目は、「クラウドフレア」の代理店である株式会社ドーモの康さんや、株式会社ドーモを弊社に紹介してくださった株式会社DGビジネステクノロジー(旧ナビプラス)の西海さんの人柄です。お二人の誠実で丁寧な対応には、とても好感が持てました。セキュリティ対策は失敗の許されないプロジェクトですから、時にはシビアな質問を投げかけることもありましたが、真摯に対応してくださる姿勢を見て、任せてみようと思いました。

株式会社DGビジネステクノロジーは株式会社ドーモのパートナーとして、新規導入企業様をご紹介いただくなど、「クラウドフレア」の拡販にご協力いただいています。

株式会社DGビジネステクノロジー 営業本部 営業部カスタマーサクセスグループ 西海 芽生 様

ファーストビューの表示時間33%短縮、Core Web Vitalsは68%改善

康:「クラウドフレア」を導入したことで、どのような効果が出ていますか?

上條様:ECサイトの表示スピードが大幅に改善しました。「クラウドフレア」を導入する以前と導入後にスピードテストを実施して比較した結果、ページの描画が開始されるまでの時間は約38%短くなったほか、ファーストビューの表示にかかる時間も約33%短くなりました。また、Googleが優れた検索体験の基準として公表しているCore Web Vitalsの「Largest Contentful Paint(LCP)」は約68%の改善が見られました。

弊社は以前から表示スピードの高速化対策としてCDNを導入していたほか、画像のファイルフォーマットとしてAVIFを採用するなど、さまざまな施策を打ってきました。表示スピードに関しては「乾いた雑巾をしぼる」ような状態だったにもかかわらず、「クラウドフレア」を導入したことで、これだけ大きな効果が出たことに驚いています。

セキュリティ対策の効果については、「クラウドフレア」とほぼ同時期に他のセキュリティ対策ツールを複数導入したため、「クラウドフレア」単体の評価は難しいのですが、サイバー攻撃や不正アクセスを迅速に検知し、IPブロックなどの対策をスムーズに実施できているため、セキュリティ対策を一層強化できたという手応えを感じています。

約3ヶ月でスムーズに導入、運用コスト削減にも成功

康:「クラウドフレア」を導入するハードルは高くありませんでしたか?

上條様:導入時の設定などをドーモさんが手厚くサポートしてくださったこともあり、大きなトラブルもなく3ヶ月ほどでスムーズに導入することができました。

康さんはレスポンスが早く、私がSlackで質問すると当日中に回答をいただけるので助かりました。すぐに解決できない事案でも、進捗状況を逐一共有してくださいましたよね。

「クラウドフレア」の代理店はいくつもありますが、株式会社ドーモは導入実績が非常に多く、経験値が高いうえ、サポート体制も充実しているので心強かったです。

康:「クラウドフレア」に切り替えたことで、運用コストに変化はありましたか?

上條様:運用コストは従来使っていたツールよりも安く抑えられています。値段で比較して導入を決めたわけではありませんが、結果的にコストを抑えられて良かったです。株式会社ドーモの料金体系は、事業規模に合わせて複数のプランから選べることもあり、ECサイト「通販生活」の現状にあったコスト感を実現できています。

康:最後に、カタログハウス様のEC事業の抱負をお聞かせください。

上條様:弊社はカタログ通販がメインの会社ですが、買い物のデジタル化が加速するなか、これまで以上に便利で楽しく買い物ができる環境をお客様に提供するために、ECにも注力していきたいと考えています。カタログで培ったコンテンツづくりやCRMなどの知見をWebにも活かし、より多くのお客様から選んでいただけるECサイトを目指します。

EC事業を伸ばしていく上で、セキュリティ対策と表示スピードの改善は、どちらも欠かせません。その両立を支えてくれる「クラウドフレア」には大いに期待しています。