Cloudflare(クラウドフレア)の導入・運用において、管理画面のアクセス権限をどのように設定すべきか悩まれる担当者の方は少なくありません。

Cloudflareでは、「ロールベースアクセス制御(RBAC)」という仕組みを採用しており、組織の規模やプランに応じて、アカウント全体、あるいは特定のドメインごとに細かくアクセス権を制御することが可能です。

適切な権限をアカウントごとに付与することは、万が一の誤操作や情報漏洩を防ぐ「セキュリティの向上」だけでなく、各担当者が迷わず作業できる「運用負荷の軽減」にも直結します。

1. Cloudflare権限管理の基本構造

Cloudflareの権限管理には、大きく分けて2つのレベルが存在します。

  • アカウントレベル: 請求情報の閲覧、ユーザー管理、サブスクリプションの変更など、組織全体に関わる権限。
  • ドメイン(ゾーン)レベル: 特定のサイト(ドメイン)に限定して、DNSやキャッシュ、WAFなどの設定を変更できる権限。

制作会社や外部パートナーに依頼する場合や、社内の特定チームにのみ管理を任せたい場合は、この「ドメインレベル」での制限を活用することで、不要なトラブルを未然に防ぐことができます。

2. 【重要】プランによって異なる利用可能なロール

Cloudflareでは、契約プランによって割り当て可能な「ロール(役割)」の種類やカスタマイズ性が異なります。

  • Free / Pro / Businessプラン: Cloudflareがあらかじめ定義した「標準ロール」(Administrator、DNS、Workers Adminなど)から選択して付与します。各ロールの権限範囲は固定されています。
  • Enterpriseプラン: 標準ロールに加え、独自の「カスタムロール」を作成可能です。「WAFの閲覧はできるが編集はできない」「特定の分析画面だけを見せる」といった、企業のコンプライアンスや組織ポリシーに合わせた極めて柔軟な権限設計が行えます。

3. 主なロール(役割)の種類

実務でよく活用される、主要な標準ロールの一覧です。

ロール名概要権限割り当てを想定する担当者
Super Administrator全ての操作が可能(支払い変更、ユーザー削除含む)。サイト所有者、情報システム責任者
FirewallWAF、IP制限、DDoS対策の設定・管理が可能。セキュリティエンジニア、CSIRT担当
DNSDNSレコードの編集のみが可能。ドメイン管理担当、ネットワークエンジニア
Cache Purgeキャッシュクリアが可能。デザイナー、ライター、開発エンジニア

すべてのロールはCloudflareのサイトをご覧ください。
https://developers.cloudflare.com/fundamentals/manage-members/roles/

4. 担当者別の権限譲渡と作業イメージ

役割ごとに適切なロールを割り当てることで、現場の運用は以下のように最適化されます。

【セキュリティ担当】Firewallロール

  • 作業イメージ: 不審な海外IPからの攻撃を検知した際、担当者が即座にWAF(ファイアウォール)ルールを適用
  • メリット: 管理者の承認待ちによるタイムラグを無くし、現場判断で初動対応ができるため、攻撃による被害を最小限に食い止められます。

【ドメイン管理担当】DNSロール

  • 作業イメージ: サーバー移転に伴うIPアドレス変更や、メールサーバー切り替え時のMXレコード更新
  • メリット: DNS設定以外の重要項目(セキュリティやキャッシュ等)に触れさせないことで、他設定との競合や誤操作によるサイトダウンを徹底排除します。

【デザイナー・ライター】Cache Purgeロール

  • 作業イメージ: 記事の更新やデザイン修正を反映させた後、担当者自ら「キャッシュクリア(パージ)」を実行
  • メリット: 管理者の手を煩わせず、現場で即座に公開確認ができるため、制作フローの停滞を防ぎ、コンテンツ公開のスピードが大幅に向上します。

5. 適切な権限管理がもたらすメリット

アカウントや役割ごとに権限を細かく設定することで、Webサイト運営において以下の効果が得られます。

  • セキュリティの向上: 全権限(Super Admin)を持つユーザーを最小限に絞ることで、パスワード漏洩時の乗っ取りリスクや、重要設定の誤変更によるダウンタイムを最小化します。
  • 運用負荷の軽減: 各担当者は自分の業務に必要なメニューのみを操作するため、管理画面がシンプルになり操作ミスが減少します。また、外部ベンダーやクリエイターに適切な権限を渡すことで、社内の承認フローを簡略化し、スピーディーな共同作業が可能になります。

6. 堅牢なサイト運営を実現する「最小権限」の運用ガバナンス

権限を適切に分離することは、外部からの攻撃だけでなく内部の人的ミスからも資産を守る強力な防御策となります。以下のガバナンスを徹底しましょう。

  • 「最小権限の原則」の徹底: 外部作業者や部門担当者には、業務に不要な全権限(Super Admin)を渡さず、必要なドメインとロール(SecurityやWorkers Adminなど)に限定して付与してください。
  • 多要素認証 (2FA) の強制適用: 権限分離を有効に機能させるため、管理画面の設定から、メンバー全員に2要素認証を必須にすることを強く推奨します。
  • 定期的な権限棚卸しと削除: プロジェクト終了後や担当者の退職時には、速やかにアクセス権を削除する運用フローを確立し、休眠アカウントによるリスクを排除してください。

まとめ

Cloudflareの権限設定は、単なる制限ではなく、組織の「安全性」と「運用の機動力」を最大化するための戦略的なプロセスです。各プランの特性を理解し、現場の役割に応じた最適な権限譲渡を行いましょう。

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